2009年度現在も大学進学率(短大含む)はまだ53.9%であり、同世代人口の約半数は大学に行っていない。それにもかかわらず、新聞やテレビでは「大学全入時代」という言葉が頻繁に使われている。
本来、大学全入時代とは1990年代後半から少子化による志願者減少を恐れた大学経営者が口にし始めた業界用語である。確かに建前上は入試があっても実質的には誰でも自由に入れる「Fランク大学」は増えている。
だがこうした大学ビジネス用語の独り歩きは、大学に行かない(行けない)若者の存在を無視する危険性があるのではなかろうか。もちろん、経済的理由から進学を断念する高校生は今も少なくはないはずである。
その意味では《青年の主張》の不在こそが、大学全入時代という無神経な言葉を跋扈させ、大学そのものを空洞化させているのだろう。
「青年の主張」のメディア史(10)より