2010/02/22

出口将人(2004)『組織文化のマネジメント』白桃書房

 Clark(1972)は、文化の現れとして組織で語られていること(Narratives)に焦点を当てた研究。

 戦略経営とは、環境の機会や脅威に企業の全社的な経営資源を適合させるため、企業組織のあらゆるレベルのミッション、目的、戦略、組織構造、マネジメントシステムを統合的かつ包括的に適合させようとする経営手法である。その具体的なツールがPPMだが、分析麻痺症候群が指摘され、戦略経営にの考え方や手法への懐疑が広がった。
 これを受けて組織文化の関心が高まり、超優良企業の8つの特徴、行動の重視、顧客に密着する、自主性と企業家精神、人を通じての生産性向上、価値観に基づく実践、基軸から離れない、単純な組織・小さな本社、厳しさと緩やかさの両面を同時に持つが出る。

 緩やかで自然な融合を目指した組織では、ニュートラと呼ばれる人々が責任ある地位に就くようになった20年後から文化が融合し始めた。これは、トップの方針の違いでかわる。トップ主導で新しい言葉、システム、制度を作る方針のもとでは、わずか数年で文化融合がなされた。

 組織文化の構成要素である価値規範には、(1)普遍的価値規範(基本理念やビジョンに表現される抽象的な価値規範)と、(2)実践的な価値規範(組織内の業務や立場に結びついた価値規範)がある。前者はWhy・Whatのロジックとして機能し、その共有は難しいことではないが、内部者として経験を積むことなしに、それがどのように具体的な行為に結びつけられるかは理解できない。後者はHowのロジックとして機能し、このときはこうするという、ハビトゥスに相当する。後者を構築する間に、前者が根拠づけられる。前者に基づいて臨機応変な行為が構築・正当化される一方、行為を媒介にして価値規範が再構築されるダイナミックな関係がある。抽象的な価値規範が曖昧であることと、実践的な価値規範・それと一体化した主観的行為を共有していることが重要な意味を持つ。

 組織文化は、(1)曖昧であること(柔軟な行為の正当化に必要)、(2)行為としての側面があること(組織文化の本質はメンバーに共有された信念・価値観・行動規範ではなく、行為が価値規範に影響する)、(3)ルールとしての側面があること(文化が共有されていることが、ルールの共有によって覆い隠されており、価値規範の多様性を顕在化させない程度にルールを共有することが重要)、である。