東北大学高度教養教育学生支援機構(2019)『大学入試における「主体性」の評価: その理念と現実』東北大学出版会
- 主体性に関する概念:人はいかに主体性を持つのか=アイデンティティ(同一性)、人はいかに主体性によって行動するのか=動機づけ。
- 動機づけを把握する方法:行動観察、他者評定、自己報告。
- 最も直接的な方法は行動観察と他者評定。
- →調査書は適切な主体性の評価方法。
- アイデンティティの2つの側面:(1)斉一性(現在の自分がまとっている感覚)と連続性(過去から未来へ続いている感覚)、(2)役割実験(理想の自分の定義を他者に対して試して認めてもらう。
- 2つが絡み合うことで全体感情としてのアイデンティティ感覚が形成される。
- 主体性を動機づけと捉えれば、筆記試験の得点にも主体性が反映される。
- 学力:学んだ力と学ぶ力に分類できる(市川 2004)。
- 学んだ力:知識の量、論述力、批判的思考力、問題解決力
- 学ぶ力:学習意欲、学習計画、持続力
- 自己調整学習:学習者が自分の学習プロセスを能動的に調整していくこと(犬塚 2017)。
- 予見、遂行、自己内省の3段階で構成される循環的プロセス。
- 主体性は自己調整学習という観点で捉えることができる。
- サイクル循環で重要なのは、学習方略(認知的方略、メタ認知的方略、リソース管理方略)、課題価値の認知、エフォートフルコントロールの3要因。
- ストレスフルな状況やネガティブな感情が喚起される状況でも自身を制御して学習に取り組むことは主体的な学習の一側面。
- 主体性の問題を考えるには、特性レベル(特定場面・領域を超えた一般的傾向)と領域レベル(分野や領域の内容に即したもの)について考える必要がある。
- 数学では自己調整学習をしても英語では自己調整的でないなど。
- 主体性評価のアプローチ
- 結果に注目 VS プロセスに注目
- 分析的(複数観点で構造化して評価)VS 総合的(緩い構造化で1つの観点で評価)
- 調査書の活用は歴史的には高校が望んだもの。しかし、現場の教員から調査書の積極的利用は望まれていない。
- 調査書が入学選抜に活用されない理由:(1)学校によって評価基準が異なる、(2)同一学校でも教師によって評価基準が異なる、(3)学校差が現存しており相互の比較が困難である、(4)卒業年次によって評価基準が異なる、(5)そぐ長後の学力変化が認められない。