田村正紀(2015)『経営事例の質的比較分析』白桃書房
- 事例記述の問題:個人の関心と資料読解能力により、全体像が部分で切り取られる。
- 事例は、局所的文脈で記述されるところに特徴がある。
- しかし、事例の蓄積は因果知識の蓄積に貢献しない。
- 理論事例:実例を見る視点が理論的に絞り込まれていること。
- ある組織に複数の分析の焦点を定めることができる(持続成長、PB開発、軌道売り場等)。
- 理論事例研究:単独事例=過程追跡(結果が生み出されるメカニズムを明らかにする=長期にわたる資料・ヒアリングが必要)と比較事例=QCA(公式データ・聞き取りデータから有用な情報を引き出す)の2つがある。
- 経営判断の多くは二値変数→二値データが10〜15事例あればQCAは可能。
- QCAと統計分析
- 統計=データを変数から見る ⇔ QCA=データを事例から見る
- 統計=Y = a + b1X1 + b2X2 + ... ⇔ QCA=X1 * X2 + X3 * X4 → Y
- 論理式:+(あるいは or)、*(かつ and)、→(左の条件が存在すれば)
- 概念:事物の本質を捉える思考の形式。内包と外延の2つがある。
- 内包:事例の共通点
- 外延:概念が当てはまる事物の範囲=具体例。
- 内包が外延を決め、外延が内包を規定する。
- 理論概念は事例を入れる容器。
- QCAの容器は2種類:クレスプ集合(1/0:国籍の有無など)とファジイ集合(部分的な成員資格を許容、0.7, 0.3を許容)。
- 連続変化は閾値で2分する方が概念を明確にできる場合が多い。
- 各事例の成員スコアの設定は、理論知と経験知を組み合わせる。
- 意見を論理式で表す:
- 専門家の贅沢品定義(T)または、消費者の贅沢品認知(F)を、卓越品質(Q)、高価(P)、稀少(R)、シンボル性(S)で議論するとき
- P*(Q+S+R)→T(卓越品は、高価であると共に、卓越品質か、シンボル性か、稀少性のいずれかを併せ持つ製品である)
- Q+P(~S+~R)→F(卓越品質を持つか、シンボル性がなくとも高価または稀少性がなくとも高価のものが贅沢品)
- 前者の補集合は、~P+~Q*~S*~R→~T
- 後者の補集合は、~Q*~P+S*R→~F