2017/06/13

大森不二雄・高田英一・岡田有司(2017)「教育の「質保証」を学生の「学習」に連結させるための課題」『東北大学高度教養教育・学生支援機構紀要』3,75-88


  • 合理的選択理論(rational choice theory):個人の行為を説明・予測する理論(意思決定理論)ではなく,初個人の行為が重なり合う結果として,どのような社会的帰結がもたらされるかを説明する理論。
    • 各個人が合理的に行動すると仮定した場合,マクロの社会構造・メゾの組織にどのような帰結がもたらされるか。
  • 英国の事例
    • 質保証が経営陣レベルの名目的ポリシーにとどもあり,教育組織の営みや一般教員の意識に実質的なインパクトをもたらしていない。
    • プログラム仕様書(≒3P)は,カリキュラム似合わせて作成するペーパーワークとして処理されている。
  • 政府主導によるマクロレベルの高等教育システムの変革に対し,メゾレベルの団体行為者としての大学は,必要最小限の努力で形式的・皮相的にコンプライアンス要件を充たすという目的を達成するという意味で合理的な行為を選択している。
  • 「内部質保証をどのようなものととらえていますか」に対する回答において,学習,学修の語が使われる頻度は極めて少ない。使っていても成果と結びつけられ,PDCAにおける点検評価対象にとどまっている。
  • 学生の行動も大学の意図とは齟齬がある。
  • 内部質保証はマクロ・メゾ・ミクロ連鎖が実現するかによるが,現状では連鎖していない。
  • 大学がこうあってほしいという願望や理想論ではなく,合理的選択を行う個人を前提にしたシステムデザインが必要。