2017/02/15

楠見孝・南部広孝・西岡加名恵・山田剛史・斎藤有吾(2016)「パフォーマンス評価を活かした高大接続のための入試-京都大学教育学部における特色入試の取り組み-」『京都大学高等教育研究』第22号, 55-66


  • パフォーマンス評価:知識やスキルを活用・応用・総合する力をみるために,学習の成果物やそれに関わる活動を評価する方法。
  • 特色入試 = 学力重視のAO入試。:(1)高校までの学びを振り返る書類とその成果をポートフォリオの形で提出を求める,(2)2次選考の課題において,教科学力を超えた汎用的能力である論理的-批判的思考力や問題解決力,創造力をみる点。
  • 論文の目的:入試の適切性を4つの観点で評価。
    • カリキュラム適合性:学力評価計画がカリキュラムにおいて設定されている目標群に適切に対応するものとなっているか。
    • 比較可能性:評価者が評価基準を共通理解し,同じ採点規則に従うことによって,評価の一貫性が確保されているのか。
    • 公正性:平等性や結果妥当性は確保できているか。諸条件,評価方法・評価規準(基準)は公開されており,社会的に承認されているのか。
    • 実行可能性:入手可能な資源と時間の範囲内で,評価対象としなくてはならない人数の学習者を評価できるのか。
  • 実施準備:(1)他大学AO調査(求める人物像,募集人員,出願書類,試験方法に関する動向を確認),(2)高校調査(高校の特色ある取組=小論文指導,グループ研究,個人研究,思考力育成,ディベート)→ 課題や提出書類の内容の作成,(3)サンプル問題公開。
  • 求める人物像:
    • 過去の経験として,高校までの広範な学習や経験の成果としての卓越した学力や,学校内外の活動で豊かな経験を積み,創造的熟達(様々な領域において経験を振り返りつつ自分なりの工夫などによる洞察を得て,高いレベルのパフォーマンスを発揮できるようになること)による洞察を得ている者
    • 現在の能力として,教育や心理などへの関心と論理的・批判的思考力などの汎用的能力を持つ者
    • 未来の志向性として,専門に基づく社会貢献の志を持つ者
  • 1次選考
    • 学びの報告書:(1)中学時代から現在までに取り組んだ「学び」の活動(各教科での学習や総合的な学習の時間,読書,課外活動,学校行事での活動,ボランティア活動等)のうち,主なものを時間の経過に沿って記述,(2)取得した資格や各種の検定の成績がある場合は,その最高の等級や得点を列挙,(3)1にあげた活動の中で,大学での学びに向けて,重要なものとあなたが考える3つの活動について説明。
    • 学びの設計書:(1)教育学部へ入学を希望する理由,(2)大学生活において何を目標にし,どのように学びたいか,具体的に設計してその内容を書く,(3)大学卒業後,大学で学んだことをどのように活かしたいか,具体的に書く。
  • 2次選考
    • 課題:問1は英文資料の下線部訳と著者の主張の要約,問 2は事実の解釈を資料に基づいて推測する問い,問3は複数の資料を用いて論じる問い。
    • 口述:提出書類・特定のトピックについての質疑応答。
  • 最終選考:センター試験80%。
  • 入学者の,入学時学習成果は高い,学習後の獲得感高い,授業外学習時間長い,グループの振るまいアクティブ,コンセプトマップ豊か