2010/10/27

佐藤郁哉(2002)『フィールドワークの技法』新曜社


依頼文の内容
  • インタビュアーの身分、所属機関、連絡先など
  • 調査全体の意図、仮説の概要(資料があれば添付)
  • なぜ、相手を聞き取り対象に選んだかの説明
  • 質問内容の概要、特に質問したいことのポイント
  • 公表する際の発表形態
  • 誰がインタビューするか(複数の場合はその理由と他の人の氏名身分)
  • インタビューの所要時間
相手の真摯さ、所要時間、公表形態の3つが明らかでないと相手は不安になる。相手の連絡先を聞いておく。テープレコーダーは最低2台用意する。

インタビューのタイプは、フォーマルなものからインフォーマルなものに向かって、
  • 面接・ヒアリング
  • 一問一答式の質問:対応する回答
  • 構造化された質問:対応する答え(以上2つが狭い意味でのインタビュー)
  • オープンエンドな質問:対応する答え
  • 現地の流儀・約束事に対する質問:それに対するアドバイス(教え)
  • 会話・対話
  • 問わず語り:それに対する受け答え
フィールドノーツとは、調査先で見聞きしたことについてのメモや記録の集積。コースターのメモ、手のひらのメモもノーツ。
主観的な印象を記録する際は、その印象の元になる視覚的・聴覚的情報(根拠)を書く。

2010/10/25

グロービッシュの1500基本単語

accuse, ally, ballot, betray, bleed, bury, condemn, cork, deaf, evaporate, fierce, fist, frighten, hollow, horrible, insane, insect, insult, interfere, jury, mercy, mob, obey, ounce, parcel, pour, praise, protest, refugee, restrain, revolt, riot, rob, rub, ruin, scare, seize, soil, starve, swear, tin, treason, treaty, trial, tribe, urge, veto, vicious, wise, wreck

2010/10/18

岩田雅明(2010)「今こそ基本に戻って経営戦略を 少子化時代のビジョンづくり」アルカディア学報 No.421

 策定された戦略を実現に移していく段階で課題となるのが、教職員の意欲である。組織の戦略と個人の意欲を連動させることが難しいのは、大学組織に限ったことではない。ある教育研修機関がアメリカのビジネスパーソンに対して実施したアンケート結果によれば、業務上の目標達成に意欲的に取り組んでいる人の割合は19%しかいなかったということである。これはサッカーでいえば2人、野球ならば1人ないし2人しか、勝とうと思ってプレイをしていないという状況である。

http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0421.html

2010/10/14

斉藤孝(2004)『コミュニケーション力』岩波新書


 本書の要旨は、以下の通りである。

  • コミュニケーションとは、意味と感情をやりとりすること。コミュニケーションは情報伝達ではない。
  • コミュニケーションはお互いの言いたいことをつかみ合う、要約力と再生力が重要。ディベートは立場を変えても議論できる能力を高めるが論理構成だけが重要な活動。自分が何を正しいとするかの価値判断のあって、論理を構成するのが普通。
  • メモは後で見るためのものではなく、その場をクリエイティブにするためのもの
  • メモは相手の言っていることをメモするだけでなく、自分に引きつけて聞いて触発されたことをメモする
  • 言語的コミュニケーションは身体的コミュニケーションが基盤。言葉だけ操ることは自尊心の肥大を招く。
  • 話をする時は微笑む。
  • 要約力と再生力に加え、言い換え力を磨く。別の言葉、自分の言葉でわかりやすく説明すること。基本的には抽象度を低くして説明すること。
  • 会議では現実を変える具体的なアイディアを一つでもいいから出す。「すべてのトラブルは具体的なアイディアのみによって乗り越えることができる。」「ネガティブな意見を言う暇があったらアイディアを出せ。」
  • 質問やコメントは、具体的かつ本質的であることが基本。「読書をどう考えるか→小学生に薦めたい本を三冊あげて下さい」

とはいえ、本書の中身は大体これくらい。斉藤先生は驚異的なペースで本を出しているが、本当に言いたいことはだいたい一言で、あとはその説明をいろいろな比喩や事例を出してくどく説明するというパターンがほとんど。決してこれは悪いことではなく、構造がしっかりしている証拠だろう。4ページで終わっては本としても成り立たないから、多少の市民を楽しませる工夫も必要だし。

その他、授業のための小ネタ。

  • p.80:アイコンタクトゲーム:一分間のスピーチで聞き手が目が合ったと思ったら座る。
  • p.138:偏愛マップコミュニケーション:好きなものを紙に書いてから自己紹介。

2010/10/11

木野茂(2005)『大学授業改善の手引き』ナカニシヤ出版



 著者は「双方型授業」を提唱しており、本書はその重要性を説くものである。著者は大学の授業は未だよくなっておらず、教員も学生も満足できるものではないと述べ、そのためには授業は学生と一緒に作るものであるという視点が不可欠であるという。この学生と一緒に作ることを著者は「双方向型」と呼んでいる。具体的な内容は、文系学生対象の自然科学実験授業、教養型科目でのひとことカード活用などの著者の実践事例を紹介するものである。先行研究に基づく内容ではなく、双方向のための方法論も出席カード、コメントカード、読書ノート等既知のものが多く、これといって目新しい情報はない。シラバスの重要性を説いているものの、実際のシラバスは決して学習支援のためのアジェンダとはなっておらず、著者の実践紹介書にとどまる内容である。

しかし、面白い点は本論の前に展開される、授業アンケートに見る大学教育の現状紹介である。アンケート項目を様々な角度から分析し、大学教育の特徴を考察するものである。履修登録者数・単位取得者数・教室定員数・アンケート回答者数の比較、授業出席率の上昇傾向、授業アンケートの実施と授業満足度の無相関、教室環境の向上と理解度向上の相関、学生の読書量の傾向など多数の項目を見ており、その結果もほとんどの大学で共通して当てはまるものではないかと思われる。特に大規模授業の特性を分析する視点としていくつか参考になるだろう。

2010/10/09

ドナルド・ショーン(佐藤学・秋田喜代美訳)(2001)『専門家の知恵 反省的実践家は行為しながら考える』ゆみる出版



  • 本書は、専門家(=医師、弁護士、教師、看護士、司書など)の思考・行動を考察するものである。著者によれば、専門家には技術的熟達者と反省的実践家の2つの専門家像があるという。技術的熟達者は、専門知識・科学技術を合理的に適用する実践者としての専門家を指す。反省的実践家とは、専門性が活動過程における知と省察それ自体にある専門家である。そして、その反省的実践家の知は、行為の中の知(knowing in action)、行為の中の省察(reflection in action)、状況との対話(conversation with situation)という3つの概念で捉えられる。行為の中の省察は、行為についての省察(reflection on action)=行為の後に立ち止まって振り返る思考とは異なる。
  • 研究者の役割は実践者の役割と区別され、実践者の役割よりも優れたものとしがちである。高等な大学と低次の専門学校との適切な関係は分離と交換であり、専門家は実践上の問題を大学に与え、大学は新たな科学的知識を専門科に返す。専門家は、大学に入るのを認められない。
  • しかし、こうした技術的合理性の観点からは、専門家の実践は問題の解決であるが、問題の設定は行われないか、その過程が無視されている。問題設定は、注意を向ける事柄を名付け(naming)、その事柄に注意を与える文脈に枠組みを与える(framing)を相互に行う過程を指す。