2019/06/20

新江孝・伊藤克容(2018)「マネジメント・コントロール研究の整理」『商学集志』88(1),1-18


  • 環境変化が必然である以上、組織変化(Organizational change)は不可欠。
  • マネジメントコントロール:初期=所与の戦略を効率的に実行する役割→近年:組織変化への貢献が期待される。
  • 本稿はマネジメントコントロール研究を整理する。
  • 組織変化:状態と方向性の変化の2つ(=組織自体の変化と戦略の変化の2つ)。
  • マネジメントコントロール:戦略の範囲内で機能する、MCをきっかけに戦略が創発したり組織文化が変化して組織変化につながる、の2つの見方。




  • 組織の3つのレベルの構成要素(Laughlin 1991)
    • 解釈図式(解釈枠組み):理念、価値観、規範、ミッション、メタルール
    • 設計要素(組織デザイン):組織構造、意思決定プロセス、コミュニケーション手段
    • サブシステム:有形の組織要素
  • これらの間の均衡が変化することで、他の変化に波及し、最終的に組織変化が引き起こされる。その4つのプロセス
    • 反発:設計要素がいったん変化するが結局元に戻る。
    • 方向転換:設計要素が変化し、次にサブシステムが変化するが、解釈図式は変化しない。
    • 植民:設計要素が変化し、それに引きづられて解釈図式(とサブシステム)が変化する。
    • 進展:まず解釈図式が変化し、次に設計要素とサブシステムが変化する。

2019/06/19

ウィリンガム,D.(恒川正志訳)(2019)『教師の勝算』東洋館出版社


  • 好奇心は、新しい概念や問題に取り組むための推進力となるが、脳は問題を解くのにどれくらいの知的活動が必要かを素早く計算し、多すぎても少なすぎても、やめることが可能なら問題に取り組むのをやめてしまう。
  • 人の興味を引くのは問い。答えだけを聞いても役に立たない。
  • 感情を揺さぶる事柄は記憶に残りやすいが、感情は学ぶための必須条件ではない。
  • 授業アンケートは、教師はいい人に見えるか、クラスはうまく統率されているかの2つの質問に集約される。
  • 子供に学んでほしい事柄は、問いに対する答え。答え自体は興味深いものではないが、問いを知ると答えがとても興味深いものになる。だから、問いを明確にすることが非常に重要。
  • 探求学習は、どの問題に取り組みたいかの明確な意見を持っていれば、選択する問題に真剣に取り組み、対象を深く考えるため利益が大きい。ただし、子供の考えることは予想できない。自由な探求が許されると思考過程が成果に結びつかなかったり、誤った発見を記憶してしまう(記憶は思考の残渣なので)。
  • 探求学習が有効な場面は、子供が問題について正しく考えているかどうか、環境から迅速なフィードバックが得られる場合(失敗すればすぐにわかる場合)。
  • 新しい概念は、既知の概念上に構築する必要がある。子供が理解するには、子供の長期記憶から適切な概念を引き出し、ワーキングメモリに置く必要がある。時には、比較、結合、操作する必要がある。
  • 深く知るとは、抽象概念と例、それらの組み合わせ方も含めて全てを理解することである。
  • 問題の表層構造は問題を解くのに重要でなくても、実際は予想以上に表層構造に影響される(胃がんへの放射線の照射と、独裁国のスポーク道路への侵攻)。
  • 練習は転移を促す一つの重要な要因。ある種の問題をたくさん解いていると、問題の深層構造を認識しやすくなる。
  • 割り算を理解していても割り算が問題を解くのに役立つことがわからない理由:人は読んでいるときに、同様の話題と関連付けながら書かれている内容を解釈している。読み進めるにつれて、次に何が来るかという解釈の可能性を大幅に絞り込んでいる。これができないと深層構造を理解できない。
  • 転移が難しいのは、初心者が表面的な特徴ばかり注目し、解くための鍵となる抽象的で機能的な問題の構造に目を向けるのが苦手だから。逆に熟達者はそれが優れている。
  • ガードナーの8つの知能:言語的知能、論理数学的知能(論理、帰納・演繹推論)、身体運動的知能(スポーツ・ダンス)、対人的知能(他人の感情・欲求・視点の理解)、内省的知能(自分の動機・感情の理解)、音楽的知能(作曲・演奏・鑑賞)、博物的知能(植物相・動物相などの分類能力)、空間的知能(空間を使用・操作する能力)
    • これらは才能や能力ではなく、知能の1つ。
    • 学校は8つの全ての知能を教育すべき。
    • 全ての知能は、新しい題材を学習する手段として使用する必要がある。
  • 子供の視点ではなく、内容の視点で考える:学習スタイル理論は、子供に当てはめても役立たないが、内容に当てはめるなら有益。子供の認知スタイルがわかっていながら、子供に合わせて指導法を変える方がよいという理由はない。
  • 知能の高い人は、複雑な概念を理解し、さまざまな形で論理的に考えることができる人のこと。知能の高い人はじっくり考えることで障害を乗り越えることができ、経験からも学ぶ。
  • 経験は、単に活動に従事すること。練習は、能力を高めようとすること。
  • 練習には有識者からのフィードバックが必要。
  • 時間をかけずに授業改善に取り組む方法:指導日記をつける、仲間と議論する、観察する、

2019/06/05

Carlile, P. (2004) "Transferring, Translating, and Transforming: An Integrative Framework for Managing Knowledge Across Boundaries", Organization Science, 15(5), 555-568


  • 変革は境界で起こる。
  • 3つの境界と3つのプロセス:syntactic (information processing boundary), semantic (interpretive boundary), pragmatic (political boundary)とtransfer, translation, transformation。
  • 境界では単に知識の共有が起こるのではなく、相互の知識の評価が行われる。
  • まず、3つの知識の違いを考える
    • Difference:素人と熟達者、専門部署間の違いなどの知識の差異のこと。
      • 複雑なサービスを作るには必要なもの。
    • Dependence:目的達成に異なる部門が協力すること。
      • 知識の差異から共通知を作ることが求められる。
      • 複雑なサービスではより多くの共通知が必要。
    • Novelty(斬新さ)≒不確実性:新しい成果のこと。
      • ある部門の知識が更新されると、共通知を作る努力も増加する。
    • 3つの関係性
      • 差異と依存が既知となるところからスタート、斬新さが増すと複雑さが増す。共通知ができるとそれが再利用され、経路依存度が高まる。新たな斬新さが増すと経路依存度が負の効果を持つようになる。ここで強いアクターが共通知を使い続けると、組織能力は下がる。
  • 3つのレベル
    • 基本は情報処理的境界:相互に知識の違いがわかっており、それを送受信して共通知ができている限り、境界は問題にならない。
      • この考え方は技術中心のナレッジマネジメントや、製品開発による境界マネジメントの基盤となる考え方。
      • しかし、斬新さが増すと、単に知識を送受信するだけでは共通知の形成や、相互の差異や依存性がわからなくなる。→次の段階へ。
    • 次の段階になると部署横断チームができてくる。これは、形式知だけでなく暗黙知に注意が払われ始めることを意味する。
      • 単に意味を探るだけでなく、関心の交渉やトレードオフも起こる。
    • 解釈では対応できない斬新さが進むと、知識を組み替える必要が出てくる。
      • 政治力で無効な共通知が使われ続けることがある。
      • うまく知識を混合させて変換することで境界を越えることができる。