2014/01/28

「大学のガバナンス改革の推進について」中央教育審議会大学分科会組織運営部会審議まとめ


  • 大学内でガバナンスが効果的に機能していない原因として、このように教学面と経営面とで別々の法体系によって規定されている各機関が、それぞれどのような関係にあるのか、十分理解されていないところから生じている。
  • 国立大学の場合は、学長が、学校教育法に規定する学長の職務を行うとともに、法人を代表し、その業務を総理することとされ、学長が教学面と経営面双方の権限を持つ。
  • 私立大学では、学校法人に置かれる理事会の理事のうち1人が理事長となり、学校法人を代表し、その業務を総理する。私立大学の学長は理事となることによって経営に関与できる仕組みをとっており、理事長と学長を兼務している場合もある。
  • 教育公務員特例法は、一般公務員法制の特例として、国や地方公共団体による公権力の行使に対して、「大学の自治」を保障する観点から、教員組織である評議会や教授会に教員人事に関する決定権を認めたものであり、70年余りの間、全ての国公立大学に適用されてきた。同法においては、学長の選考については学長、学部長等で構成する評議会が、学部長の選考や教員の採用・昇任については教授会が、実質的な権限を有することを規定している。
  • これらの規定は、現在では法人化していない公立大学に対してのみ適用されている。教育公務員特例法が想定していた公権力の行使に対して、特に人事に関する大学の自治を守るための教授会という構図はなくなり、各国立大学法人・公立大学法人は、学長・学部長の選考や教員の採用等の手続について、任命権者としての学長又は理事長の下で、自由に整備できることになった。
  • 公共性が高い法人ほど、ステークホルダーはより広い範囲に及び、その意思を、法人運営に直接反映させることは難しくなる。そのため、各法人ごとに、独自のガバナンスの仕組みが設けられている。例えば、独立行政法人や国立大学法人の場合には、国民の代表である所管省庁の大臣が、法人の中期目標を示すとともに、当該目標を達成するための中期計画について、認可を行うこと、また、国の評価委員会による評価を行うことで、ステークホルダーである国民の意思が法人運営に反映される仕組みになっている。
  • 国立大学法人の場合は、法人化に際して、大学の自主性を尊重する観点から、国の関与は最小限に止められ、その運営について大学に広範な裁量が認められている。その分、学長自らが、ステークホルダーを意識してガバナンス改革に取り組む社会的な責任がある。
  • 下部機関への委任がない限り、学生の入学の判定や学位の授与といった大学の判断は、法律上は、学長の責任において行うこととされており、仮に、教授会等における判断が適切でない場合であっても、その責任を問われるのは学長である。権限と責任が一致することは、あらゆる組織におけるガバナンスの基本であり、その観点から、各大学において、ガバナンスの在り方を見直していくことが求められる。
  • 教職員自らの意思で大学の方針に沿った教育研究を行うようにしていくのが国際的に認知された大学運営の在り方である。教授会の理解と協力が得られれば、結果的に、最も迅速かつ効果的に大学改革が進展する。構成員をいかにやる気にするかにトップの手腕が問われるのは株式会社と同じであり、教授会という場が意見調整の機能を持つことまで否定されるべきものとは言えない。
  • 大学のガバナンス改革は、大学の目的である教育、研究及び社会貢献の機能を最大化するものでなければならない。
  • 学長がリーダーシップを発揮して、大学の教育研究機能を最大限に高めていくためには、教職員に学長のビジョンを的確に伝え、その意欲と能力を最大限に引き出していくことが必要である。そのためには、所属教職員への明確なビジョンの提示と、丁寧な対話やコミュニケーションをはかるなど、学長のビジョンへの理解を得ていくことが重要である。
  • 副学長、学長補佐、学長室スタッフなどの形で各学部の事情に通じた教職員を大学執行部に加える等、学長の意思決定をサポートする体制の強化を図ることが重要である。特に、縦割りの分掌業務ではなく、米国のプロボストのように、大学全体の予算、人事、組織改編の調整権を持ち、学長を統括的に補佐する副学長(総括副学長)等の設置は有効であると考えられる。理事の職務分担が事柄ごとに縦割りに細分化されてしまい、学長以外に、全学的な状況を把握できる者がいないとの指摘がある。
  • 学長等は、学長のビジョンや大学の経営方針を共有して適切な役割を果たすことのできる学部長を任命することが必要である。しかしながら、現状の学部長の選考方法は、当該学部の教授会の議に基づき学長が行うとしている 教育公務員特例法に由来する慣行から、教授会での意向投票の結果がそのまま尊重される場合が多く、持ち回りになっている場合すらある。
  • 学校教育法第93条は、大学の特質を踏まえて、「重要な事項」の詳細を規定せずに、各大学の裁量に委ねているが、その解釈については、教授会が、学校教育法に基づいて設置されている機関であることに立ち返って考える必要がある。そもそも学校教育法は、教学面を規定する法律であり、国立大学法人法や私立学校法等のように経営面について規定するものではない。したがって、学校教育法に基づいて設けられる機関である教授会の審議事項は、当然に教育研究に関することに限られると解される。
  • もっとも、大学の目的が教育研究そのものにあることから、教育研究に関する事項と経営に関する事項を明確に峻別することは困難な面がある。例えば、学部・学科の廃止やキャンパスの移転といった事柄については、純粋に 経営的な事項であるとする指摘もあるが、そこで学んでいる学生の教育環境や、研究の多様性・継続性の維持等に大きく影響する事項でもある。
  • 「重要な事項」の具体的内容として、(1)教育課程の編成、(2)学生の身分に関する審査、(3)学位授与、(4)教員の研究業績等の審査等については、教授会の審議を十分に考慮した上で、学長が最終決定を行うことが望ましいと考えられる。
  • 我が国の大学教員が内向きの議論をしがちだと指摘される背景には、人材の流動性が諸外国に比べて低く、所属組織とは異なるガバナンスについて意識したことのある人材が少ないことにも一因がある。このため、所属大学以外の組織での経験を持つ人材を確保していくことが極めて重要であり、国内外を対象にした公募の導入等を通じて、国内外の大学・研究機関だけでなく、国際機関や民間企業も含めた幅広い勤務経験を促進すべきである。
  • 大学による自主的・自律的なガバナンス改革を継続していくためには、若手やマネジメント能力の高い教職員を積極的に起用することによって、早い段階から大学経営の感覚を身に付けさせるとともに、学内や大学団体等の研修、人事交流等を通じて、将来の執行部人材として育成していくことが重要である。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/035/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/11/21/1341577_2.pdf

2014/01/22

淵上克義(2013)「大学におけるリーダーシップの形成」『名古屋高等教育研究』第13号,213−234

  • 大学組織では効果的なリーダーシップが発揮しにくい。そのため,リーダーとフォロワーの関係に注目するよりも,執行部におけるリーダーシップのあり方そのものに注目する方が意義深い。
  • TMTの特徴は,(1)複雑で構造化されていない課題に取り組まなければならない,(2)多くの情報源から曖昧で矛盾に満ちた膨大な情報を処理し、解決しなければならない,(3)取り組む課題の重要性が極めて高い,(4)各メンバーが特定のサブグループの代表でもあるために、関心の不一致や帰属意識における緊張など葛藤を招きやすい。
  • すぐれたチーム組織化の形成期には,(1:感情的側面)チームの構成員が集団全体として強い効力感を持ちながら,(2:行動的側面)前向きでオープンな仕事に関わるコミュニケーションを交わし,(3:認知的側面)各自の役割の自己認識と他者認識が成立しているだけでなく、チーム全体の方向性やそれに向けた諸活動の共有化が成されている。
  • 共有リーダーシップ:相互依存的で自律的なチームに影響を持つ源,自律的又はエンパワーメントされたチームでは、成員全員がリーダーの役割を共有している。

2014/01/21

松下佳代(2012)「パフォーマンス評価による学習の質の評価」『京都大学高等教育研究』第18号,75-114

  • 質=異なった基準で「期待通りのものを得られるか」を追求すること,卓越性=同一の基準で比較した上でより優れていること,よって,質はす べての高等教育機関においてめざされるべきものだが卓越性はそうでない
  • パフォーマンス評価=ある特定の文脈のもとで,さまざまな知識や技能などを用いながら行われる,学習者自身の作品や実演を直接に評価する方法
  • 間接評価:NSSE,JCSS=「どのように学習したか」や「何ができると思っているか」を学生自身に答えさせる
  • 直接評価=「何ができるか」を学生自身に提示させる
  • 心理測定学的パラダイム:標準テスト,学生調査
  • オルタナティブ・アセスメント:パフォーマンス,ポートフォリオ,オーセンティック
  • パフォーマンス評価=パフォーマンス課題+ルーブリック
  • パフォーマンス課題の例はCLA参照(http://cae.org/performance-assessment/category/cla-sample-tasks/