2013/03/11

飯田泰之(2012)『思考の「型」を身につけよう』朝日新書


  • 経済学における合理性とは,主観的な幸せを最大化することであり,その人がよいのならいいという割り切りの考え方。これは,個人主義を基礎(他人の意思や価値観を傷つけない限りで個人の意思や価値観は最大限尊重される)とする。
  • 以前の経済学は,労働価値説(商品の価値は製作に要した労働力で決まる)という客観価値説をとっていた。しかし,これでは採掘するだけの貴金属がなぜ高いか,大卒と高卒の労働の価値の差はどう決まるかという,処理する問題が増える。
  • 主観価値説を認めることは,他人も主観的な価値に基づいて合理的に行動していることを受け入れることになる。他人の非合理な行動は,その人の合理的な行動である。
  • 1年後の100万円をもらう問題,今日95万をもらうか,90万もらうか,85万もらうか,97万でもらった人は,割引率3%と考える。
  • 割引率は,待つことの心理的費用と理解できる。
  • 割引率が20%の人は,今の80万円と1年後の100万円が同じ価値,金利が20%以下なら,その人はお金を借りてしまう。
  • 逆に3%の人は,金利が3%以上ならお金を使わず貯金をする。
  • 割引率が低い人は資産を持ち(将来の充実を重視し),高い人は借り入れ(現在の快楽を重視)する。
  • 仮に割引率を5%とすると,月割引率は1.05^(1/12)=0.4%,よって,1年後の100万と今の95万,1ヶ月後の100万と今の99.6万,1日後の100万より今の99.986万が同一。
  • ところが,実際はこれよりも少ない額を人は留保する。これは,近い将来は大きく割り引き,長い将来は小さく割り引くため(=双曲割引)。締め切り1ヶ月前の執筆計画は立てられるが,当日になると守れない。
  • 双曲割引がある場合は,選択肢を絞るコミットメントが有効(通常は選択肢は多い方がよい)。高額な教材を買う(サンクコスト),他店より1円でも高い商品は値下げしますなど。←これは双曲割引とは関係ない。
  • 市場の長所は,顔が見えないことによって,嫉妬心とは無縁に損得勘定ができる点。人は嫉妬する生き物で,周囲に裕福な人が多いと,幸福度が下がる。金銭の授受の匿名性を高めたり,顧客に質素な姿を見せるとよい。
 割引率の説明は,初学者向けにとてもよいものだが,それ以外は冗長でもっとコンパクトにできる余地がある。