2020/06/19

藤村正司(2020)「高等教育組織存立の分析視角(3) ―自己の規律化―」『大学論集』52,1-17


  • 目的:国立大学が財政自治権を持たない上,設置者負担の規律を欠いた国立大学法人法を適用したことで,財布の紐を握った行政の裁量が強まる悪循環を指摘した研究が少ない。→  制度派経済学(主人・代理人論)の誤用(契約後の政府過小投資で大学がホールドアップ問題に直面)として論証。
  • 国立大学の規律づけ=ディシプリンに根ざした組織原理=外部観察者には無政府状態 → 同僚制モデルから官僚制・市場モデルに転換させる必要あり
  • 脱制度化プロセス
    • 1960代後半:学生紛争→学長中心管理の必要性提言(46答申)→73年筑波大設置
    • 大綱化以降の教養カリキュラム再編:全学教育が学部教育を相対化(←本当?)
    • 99年積算校費廃止:大学全体で配分するトップダウン型
  • 国立大学法人法のポイントは組織原理条文の存在:法人大学分離(国大協は法人大学一体を主張していた)
  • 「不完備な長期契約」による上位者の制御拡大問題:
    • エージェントの動機づけを機会主義と捉えている(=性悪説)
    • 運営費交付金算定基準を定めていない
  • 定量指標による財源再配分=努力不足に対する財務省の制裁⇔監査可能性の拡大ではなく
  • 一方で,ミッションの再定義と言いながら,中期計画は答申の意向に沿った横並び→検証の儀式化,他律的な監査可能性の設定→強制的同型化
  • 運営費交付金等コスト当たりTop10%論文数:低燃費で論文生産性の高い理工系に有利→大学間格差拡大